第6章:暗記方法




暗記は本当に良くないのか

今回は暗記方法についてお話したいと思います。全体の勉強の流れでいうと、「復習」に該当しますが、実は「アウトプット」とも深い関連があるので、一概にどちらとは言えません。ただし便宜上、一旦は復習にいれておきます。

 

 

※上記の図がわからない方は以下の記事を参考にしてください。 

 

第1章:勉強の一般的な流れ

 

暗記と聞いて嫌になる人はたくさんいます。ペンペン先生もその一人。今でも好きにはなれません。

ただ「暗記を制するものが受験を制す」と言われるほど、大切な力ではあります。理由は簡単。なぜなら、人は物事を考える時、目の前の情報と記憶情報を関連させ合わなければならないからです。すなわち、一見暗記は関係ないと思われる「考える力」も、ベースには暗記力が備わっていなければ、育むことが難しいのです。

 

 

でも世の中「暗記はよくない」、「詰め込み教育だから日本はいけないんだ」、「理解することが大事だ。暗記じゃない」と盛んに言われています。なぜでしょう。

皆さんは暗記と聞いてどのような勉強をイメージしますか。たとえば英単語の小テストにそなえた直前の丸暗記。イメージしましたよね。これは単純暗記と呼ばれるものです。たしかに、丸暗記だけでは、あまり良いとはいえません。いわゆる「よくない」学習です。

おそらく、上記のように「暗記はよくない」と叫んでいる人も、皆さん同様、単純暗記(丸暗記)のことを言っているのではないでしょうか。

たしかに丸暗記が必要なタイミングもあります。ただ、私が言っている大切な暗記力はもう一方の暗記力、理解型暗記力です。

理解型暗記力とは、対象の物語を理解し、関連づけて暗記する力です。一方単純暗記は物語、流れがなく独立した対象に行う暗記です。つまり、理解した上で物事を関連させながら、覚えることが大事で、可能な限り理解型暗記を行うのが望ましいと言いたいのです。

ちょっと辞典で「暗記」がどのように定義されているか見てみましょう。

あん‐き【暗記/×諳記】
[名](スル)文字・数字などを、書いたものを見ないでもすらすらと言えるように、よく覚えること。「英単語を―する」「丸―」「―力」
https://dictionary.goo.ne.jp/jn/8322/meaning/m0u/暗記/より

スラスラいえる状態のことだそうです。その状態になるための様々な方法のひとつに単純暗記があるのであって、暗記=単純暗記ではないのです。したがって、私は単純と理解型を合わせて暗記と読んでいます

さて、これらの違いをみる前に、共通した暗記のプロセスについてみていきましょう。実はこのプロセスは、身近な現象で説明できます。カラオケです。

 

 

 

暗記はヒット曲をカラオケで歌えるようになること

暗記のプロセスは『ヒット曲の歌詞を覚えてカラオケ歌える過程』と非常に似ています。ステップごとにみていきましょう。

 

ステップ①:いろんな場面でサビを何度も聞き頭に残る

最近のヒット曲はいろんなところで耳にします。コンビニ、車の中のラジオ、友達が歌うカラオケ、テレビ番組など。ヒット曲だからこそ、様々な場面で取り上げられ、耳にします。その中でもやはりサビ部分はよく聞きます。何度も聞いていると、嫌でも断片的に歌詞を覚えてしまいます。なんなら口ずさんだり、鼻歌を歌ってしまうことも多々あります。そうやって、知らないうちに、ヒット曲の一部が頭に定着します。これは意識しているわけではなく、覚えようとしたわけでもありません。頻回に聞いていたら、勝手に耳に残り、断片的に脳に記憶として定着した状態です。

 

 

 

ステップ②:何かをきっかけに正確な歌詞や曲を知る

さてある日、友達とカラオケに行くことになりました。早速、最近よく聞くヒット曲を歌ってみます。しかし、うまく歌えません。リズムは取りづらく、歌詞につまずき、結局は途中で終了してしまう始末です。ただ、恥ずかしい思いをしたものの、失敗ばかりではありません。サビ以外のリズムや、歌詞が曖昧だった部分などが明らかとなり、多くの発見がありました。

 

 

ステップ③:意識的に暗記しようとする

やはり悔しかったのでしょう。後日、曲を買い全体の歌詞やリズムを確認します。そして、これまで記憶していた断片的な歌詞や曲に関連させて、全体を2~3回歌ってみます。すると歌詞を見ながらであれば完璧に歌えるようになりました。ここで始めて意識的な暗記作業を行なったのです。

 

 

ステップ④:記憶の固定化をする

歌詞を見ながら歌えるようになったので、何度も繰り返し歌い続けます。すると少しずつ、サビ以外の部分も歌詞を見ずに歌えるようになり、記憶に定着していきます。10回も歌えば十分でしょう。次のカラオケではリベンジできそうです。

いかがでしょう。皆さんも何回か経験したことがあるのではないでしょうか。これが暗記の流れの具体例です。さて具体例中に、つらい思いをしながら嫌々暗記した場面はありましたか。ないですよね。普段、皆さんがイメージしやすい嫌な暗記と何が違うのでしょう。それは「意識的な暗記作業に入る際に土台となる記憶があるかどうか」なのです。

 

 

土台を作らず、完璧に暗記しようとするから嫌になる

もう一度『ヒット曲をカラオケで歌えるようになるまでの流れ』を見てみましょう

①コンビニやラジオで何度も同じ曲を聞く

②嫌でも断片的に歌詞や、全体の曲の流れが頭に残る

③カラオケで一回歌い、初めて全体の歌詞やリズムを知り、記憶に修正がかかる

④数回歌詞を見ながら無理なく歌い、意識的に暗記する

⑤少しずつ歌詞を見ずに無理なく歌い、記憶を固定化する

⑥カラオケで十八番の曲になる

ではこの流れを単語の暗記に照らし合わせてみましょう。

①覚えようとせず、何度も英単語と意味を見る(正確には1日最大で3回くらいにしておくのがよいです)

②嫌でも数個の印象的な単語の意味が頭に残る

③一回小テストをしてみるが、すべては答えられない。しかし初めて単語を思い出す行為をし、記憶に修正がかかる。(アハ体験の感覚)

④数回、意識的に覚えようとする。

⑤何回か小テストしてみる

⑥自然と残りの単語も頭に定着し、英語の文章内でも単語の意味が分かるようになる

いかがでしょう。両者とも似ていますね。この流れが最も無理のない暗記方法です。しかし、一般的に多くの人は①から③の過程を踏まず、いきなり④に行くから、辛い思いをし、挫折して暗記が嫌になります。実は、意識的に暗記する前に①から③で記憶の土台を作れるかどうかが、無理なく暗記する上で大事なのです。

 

 

 

記憶の土台作りは【暗記しようとしないこと】

土台作りにはコツがあります。それは、「意識的に暗記しようとしないこと」です。理想は「何回も見ていたら、部分的に記憶に残っていた状態」です。この状態で定着した記憶情報こそ土台として相応しいのです。理由は二つあります。ひとつは土台作りで苦痛を伴わせてはならないからです。暗記はある一定の苦痛を伴います。でも土台作りから苦痛があれば、それ以降の作業に取りかかりにくくなります。最初の学習はとにかくスモールステップです。苦痛を軽減することが大事だからこそ、始めは無理に暗記を意識しなくてもよいのです。

 

 

もうひとつは自然に定着した記憶は安定しているからです。土台となる記憶情報はちょっとやそっとで消失されては困ります。つまり安定性を求めたい情報です。では無理矢理暗記した情報と自然と頭に残った情報はどちらがより安定的に記憶に保持されるでしょう。後者ですよね。後者は情報に対しなんらかの特徴を無意識に見出したからこそ、自然と記憶に残ったのです。なんか頭に残る歌詞、なんか頭に残るリズム、単語。こうした覚えたくなくても覚えてしまった情報というのは、土台として相応しい安定した記憶なのです。

 

 

以上から、土台作りは焦って暗記しようとしなくてよいのです。そしてこの段階でより一層記憶に残りやすくする工夫が「理解を伴わせる、物事を関連づける」作業であり、理解型暗記と呼ばれるものです。理解は記憶を促進します。これは心理学でも証明されている事実であり、おそらく皆さんも経験があるかと思います。その理解を伴わせることで、意識的に暗記しようとしない段階でも、苦痛を伴わない形で、土台形成がしやすくなります。

その後も同様です。ステップ②以降も常に理解を伴わせることで、暗記を促進してくれます。したがって、単語などの理解しにくい情報ですら、語源を利用するなどして、理解を伴わせる工夫が、暗記力アップのコツなのです。
※単純暗記は理解を伴わせなかったり、④から始めるなど暗記を言います。

 

 

暗記は必要な力

少しは暗記に対して抵抗が薄れたでしょうか。今、自分はどの段階なのか。無理して覚える必要のない段階なのか、仕上げの段階なのか。よく見極めて、適切な方法、ステップで暗記をしましょう。それが、暗記嫌いから抜け出す唯一の道です。

最後に。暗記は受験以外でも必要な力です。特に医療現場などは顕著です。たとえば救急車で運ばれてきた患者さんが、あと10分で命が危ない状態だとします。ここで、何からすべきか調べていては、全く話になりません。

 

 

医師をはじめとした医療従事者が迅速に動けるのは、普段から努力して暗記し、シミュレーションをしているからです。暗記は緊急性に強い力です。だからこそ、舐めてはいけません。暗記から逃げずに、立ち向かいましょう。そうすれば、受験だけでなく、卒業後も役立つ力となり、必ずあなたを助けてくれますよ🐧










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