【原稿公開】第2章(3)「問題学習」とは




 

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問題学習とは

問題学習とは学校の授業や参考書で学んだ内容(多くは概念)が、どのような形で問われるか、問題パターンを分析し、解法や考え方を一般化(抽象化)して習得する学習です。これは非常に重要な学習です。なぜなら、「学校や参考書で学ぶ内容を理解しただけではテストで点はとれない」からです。

勉強はインプットとアウトプットに分けることができます。インプットとは、頭に何かを入れることです。何かを学んだり調べたりして理解する作業にあたります。従って学校の授業はインプットに含まれます。一方アウトプットは頭から出すことです。インプットした内容を場面や条件に応じ、頭から取り出すことを言います。アウトプットは問題を解く、テストで点をとるといった作業にあたります。

つまり、授業や参考書で理解すること(インプット)とテストで問題を解くこと(アウトプット)は全く異なる学習であるため、内容を理解しただけでは点はとれないのです。

 

 

 

テストで点をとるために

さて次は「テストで点をとること」について考えてみましょう。
テストはアウトプットであると述べました。もう少し厳密に述べるなら「テストは求められるアウトプットの一つの形である」と言えます。

私達は普段いろんな形でアウトプットを求められます。例えば友人から確率について質問された場合、友人は確率についてのアウトプットを求めています。ここで三角関数の話をしてもダメです。友人が聞きたい確率の話をアウトプットしたら感謝されます。大学入試も同じです。大学によって入試問題が異なります。つまり大学それぞれが求めるアウトプットの形は異なるのです。入試問題という個々の大学が求めるアウトプットの形に対し適切に答えることができれば「合格」という評価をもらえます。学校の授業で、先生が「ここ定期テストで出ますよ」と言うことがあります。それは「定期テストでは先生がこういう形のアウトプットを皆さんに求めていますよ」と教えてくれているのです。当然「出ます」と言われたところを対策してテストに臨めば点がとれます。

このように、求められるアウトプットの形は様々であり、それ対し適切に答えると、評価され結果を出すことができるのです。

 

 

 

では「テストで点をとる」ためにはどう対策したらよいのでしょう。テストとして求められるアウトプットの形を分析し(インプットし)、答える練習(アウトプットの練習)をしたらよいのです。

ほとんどのテストが共通して求めているのは「問題を解く」ことです。学校の授業や参考書で理解した内容が、そのままの形でテスト問題になることはありません。いろんな形の「問題」に変化して私達にアウトプットを求めてきます。従ってテストで点をとる(求められる形でアウトプットする)ためには理解した内容がどのような形で問われるか、問題パターンを分析し、解法や考え方を習得して(インプットし)、その知識を場面、条件に応じて使う練習(アウトプットの練習)をしなければなりません。

このうちインプットにあたる学習を問題学習といいます。

 

 

冒頭でも述べたように問題学習とは問題パターンを分析し、解法や考え方を一般化(抽象化)して習得する学習です。

具体的な話に入る前に、なぜ一般化(抽象化)する必要があるか説明します。
どの科目でも同様ですが、問題の解法や考え方は、他の問題にも転用できる形、すなわち一般化(抽象化)して初めて習得に値する知識となります。なぜなら、テスト、特に模擬試験や受験においては、過去の問題と似ていることはあっても、同じ問題が出されることは少ないからです。従って、問題集にある問題だけ解けるようになっても全く意味がないのです。大切なのは、その一問を解くことではなく、その一問から似た問題や全く異なる問題をも解く力を身につけることです。そのためには、問題から学べる解法や考え方を、一つ上の概念へ一般化、抽象化して習得する必要があるのです。

 

 

 

問題学習の方法

では何をどのように一般化、抽象化したらよいのでしょう。それは以下二つです。

 

① フローチャートの作成
問題文、解答解説を理解し、解答の流れを一般化、抽象化する

② ポイントの抽出
解答解説やフローチャートから、解き始めの発想のきっかけや躓いた時の考え方などを一般化、抽象化する

 

まず問題パターンの解答の流れを一般化・抽象化します。解答の流れとは、問題を解き始めてから答えを出すまでの一連のステップです。この過程を他の問題にも使える形に一般化・抽象化します。この作業を「①フローチャートの作成」と呼びます。フローチャートは複数の類題に共通する解答の流れなので、習得すれば、分析したパターンの問題はどんなものでも解けることになります。また全く異なる問題でも、過去に分析した問題パターンのフローチャートがヒントになり、解法を思いつく場合があります。従って、解答の流れを一般化、抽象化することは非常に意義があると言えます。

しかしこれだけでは不十分です。なぜなら実際は新しい問題を見て、ぱっと頭に解答の流れが全て思い浮び、それから解き始めるわけではないからです。多くの場合、問題文の中に「解き始める発想のきっかけやヒント」があり、それらを元に習得したフローチャートをいくつか思い出し、照らし合わせて初めて、解き始めることができます。さらに解き始めたとしても、いつもスムーズに最後まで解けるわけではありません。途中に躓く場面もたくさんあります。そんな時に視点を変え、乗り越える力も問題を解く上では欠かせません。こうした「解き始める発想のきっかけやヒント」、「途中躓いた時の視点の切り替えや乗り越える考え方」も解答解説やフローチャートから見つけ出し、他の問題にも使える形、すなわち一般化、抽象化して習得する必要があります。この作業を「②ポイントの抽出」と呼びます。

習得したフローチャートとポイントの多さが引き出しの厚さに繋がり、模擬試験や受験で、見たことのない問題が出題されても対応できる力になるのです。

 

 

 

問題学習の具体的な流れは、まず問題文を見たら、すぐ解答に目を移し、解説をもとに解く流れを理解します。途中の計算をする必要はありません。「計算したらこうなるんだな」と確認する程度で良いです。解く流れ、考え方を理解したら一般化(抽象化)しフローチャートとしてシンプルにまとめます。次に解答解説、フローチャートからポイントを抽出します。これだけです。フローチャートとポイントは大切な武器になるので、どこかにメモしておきましょう。

 

 

問題学習の実践

ではいくつかの例題でフローチャート作成とポイントの抽出を実践してみましょう。

 

【例題1(慶應大学幼稚舎入試問題より)】

 

 

①まず問題を見て把握したら、すぐに答えを見ます。

「答えはB」

 

②解説を読み理解します。

「本物のバスを考えると、乗り降りできる扉がついているのは、進行方向に向かって左です(日本では左側通行なので)。このバスの絵は乗り降りする扉がない側が見えています。従って、進行方向に向かって右側が見えていることになります。以上からバスはBの方向に進みます」

 

③解説をもとに解答の流れを一般化します(フローチャートの作成)

★次、同じような問題が出ても解けるようなまとめ方が、良いフローチャートを作成する鍵です。

<フローチャート>
「実際のバスをイメージする」

「ドアがついている向きを考えて確認する(図に書く)」

「絵と照らし合せてバスを動かし、進む方向を考える」

 

④フローチャートや解答解説から「解き始めの発想のきっかけや躓いた時の乗り越える考え方」などを抽出し一般化します(ポイントの抽出)

<ポイント>
「問題がシンプルな時は具体的にイメージした図を描く。時には本物をイメージする」

 

⑤最後にフローチャートとポイントをどこかにメモしておきます。

 

いかがでしょうか。イメージできましたか。もう一問、一緒に問題学習をしてみましょう。

 

【例題2】
「x2-y2+2x+1を因数分解せよ」
https://chu.benesse.co.jp/qat/3476_m.html

 

①まず問題を見て把握したら、すぐに答えを見ます。

「x2-y2+2x+1
= x2+2x+1-y2
= (x2+2x+1)-y2
=(x+1)2-y2
x+1をMと置いて
=M2-y2
=(M+y)(M-y)
Mにx+1を代入して
=[(x+1)+y][(x+1)-y] =(x+1+y)(x+1-y)」

 

②解説を読み理解します。

「xの項の式と考えて、まとめる。そしてまずxだけで因数分解をしてしまいます。するとX2-Y2という形になるので、x+1をMと置き換えて、M2-y2とし、さらに因数分解をします。すると(M+y)(M-y)となりこれ以上因数分解はできないため、Mにx+1を戻して答えを導くことができます。」

 

③解説をもとに解答の流れを一般化します(フローチャートの作成)

★次、同じような問題が出ても解けるようなまとめ方が、良いフローチャートを作成する鍵です。

<フローチャート>
「項の次数が大きいxに合せて式を並べなおす

xで先に因数分解する

yを含めてさらに因数分解できないか考える
(X2-Y2という形が見つかる)

塊を別の文字に置き換えてみやすくする

できるところまで因数分解をする

最後に置き換えた文字に元の式を戻して答えを出す

 

④フローチャートや解答解説から「解き始めの発想のきっかけや躓いた時の乗り越える考え方」などを抽出し一般化します(ポイントの抽出)

<ポイント>
「複数の項がある因数分解は、次数の高い項の文字を中心に式をまとめ直して因数分解する」
「塊を意識して因数分解する」

 

⑤最後にフローチャートとポイントをどこかにメモしておきます。

 

いかがでしょう。問題学習をイメージできたでしょうか。

 

 

問題学習の例

ではここから私の教え子が作った問題学習の資料をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

生徒A

 

理想形のフローチャートとポイントです。上の赤で囲まれている所が問題の解き方の流れを一般化(抽象化)しシンプルにまとめたもの、つまりフローチャートです。そして下の二つ赤で囲まれて、「ポイント」と書かれています。ポイントでは「この手の問題は二つのアプローチ方法がある」ということをフローチャートから抽出しています。本当に上手なまとめです。

 

生徒B

これも非常によいまとめ方です。ちゃんと使うべきポイント、公式もチェックしています。

 

生徒C

こちらに関してもフローチャートとポイントをしっかりまとめることができています。

以上です。フローチャートとポイントをまとめたら、その問題パターンの問題学習は終えたことになります。あとは、問題を見た瞬間にフローチャートとポイントを思い出す練習(問題学習の復習:コラム4を参照)を繰り返せば、テストで点をとる準備は完璧です。ぜひ本章を参考にしながらご自身で実践してみてください。

それでは次の章から具体的に教材の選び方について説明していきます。

 

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