【原稿公開】第3章(2)基礎内容を優しく説明している参考書を選べ




 

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理解型参考書は「学び始めのつまずき、苦手科目」という課題解決に適した教材です。なぜなら、この課題の根本的な原因は「不十分な理解」にあるからです。

では「理解」に重点を置く理解型参考書は、どのような特徴を持つのでしょう。詳しい説明、盛りだくさんな内容、有名な著者…。残念ながらいずれも理解型参考書として適しているとは言えません。

理解型参考書の特徴はいくつかあります。その中で、「基礎内容のみ扱い、優しく説明している」点が最も重要です。この特徴をさらに「基礎内容のみ扱う」「優しく説明している」の二つに分けて説明します。

 

 

「基礎内容のみ扱っていること」は非常に大切です。どの参考書も共通して基礎内容を扱っているとは思います。しかし、多くの教材は基礎に続き、応用の内容も解説されています。こうした参考書は理解型参考書として適していません。理由は「本が厚くなる」か「基礎内容が手薄になる」からです。基礎に応用が加わると、どうしても本が厚くなります。理解型参考書は学び始めで躓いている人や、苦手科目を克服しようとする人が主に使う教材です。ただでさえ、理解が不十分で、苦手意識のある科目なのに、本が厚いとそれだけでやる気をなくします。特に最近の若い人はあまり本を読みません。従って厚い本というだけで抵抗を感じてしまいます。

 

 

となると、販売側はできる限り本を薄くするために一部の解説を省略します。どこから省略するのでしょう。当然基礎内容からです。一般的に基礎は簡単な内容が多いので、解説がやや少なくても、大抵は“説明”できてしまいます。しかし応用となると解説が少なくては“説明”できません。従って必然的に薄い本でかつ内容を盛りだくさんにするには、基礎の解説を少なくする方向に傾きます。

ただ、何度も言うように理解型参考書は初学者や苦手意識をもつ人が「使いやすい、理解しやすい」ものでなければなりません。これらの人には基礎内容が何より大切であり、十分な解説が必要不可欠です。従って大切な基礎の解説が少なく、応用を詳しく説明している教材は明らかに適しません。

 

 

また応用が含まれると、基礎内容への理解が妨げられる可能性もあります。なぜなら基礎を学び理解しようという場面で、応用や例外の解説が割り込み、より複雑にしてしまうからです。勉強に慣れていない人はどうしても本一冊全てをやり遂げようとします。すると、まだ学ぶタイミングでない応用や例外にも手を出してしまいます。それは新たな混乱を生み、克服の妨げにつながります。そのようなリスクを避けるためにも、理解型参考書は基礎内容のみを扱っている教材が適しているのです。

次に、もう一つの重要な特徴である「優しく説明している」点を説明します。
「詳しく」ではなく、「優しく」です。「詳しく」説明している教材はたくさんあります。代表的なものとしては辞書や文法書です。これらには非常に詳しい解説が記載されています。学習する科目は学問なので、詳しい教材で一つのテーマを深めようと思えばとことん深めることができます。しかし中学生や高校生は、学ぶべき深さに限度があります。もちろん例外はありますが、大抵は大学で学ぶような深い内容を無理に学ぶ必要はありません。学ぶ人の状況によっても、その時々で必要な深さがあります。

「詳しい」は内容を「深く掘り下げている」ことを意味します。一方、「優しい」は内容が「理解しやすい」ことを意味します。もちろん深ければ深いほど理解しやすい場合もありますが、基本的に「深さ」と「理解のしやすさ」は相関しません。理解型参考書に必要なのは「詳しさ」ではなく基礎内容をシンプルに分かりやすく解説してくれる「優しさ」です。詳しくなくていいのです。複雑でなくシンプルに、初学者を混乱させない優しい解説こそ、理解型参考書に不可欠な特徴です

 

 

理解型参考書に「基礎内容の優しい説明」を、ここまで求めるのは「理解のしやすさ」以外にも大きな理由があります。それは、何かを始める時や苦手を克服する時は「継続」が重要であり、継続するためには「始め方」が肝心だからです。

三日坊主という言葉もあるように、人は継続がとても苦手な生き物です。何が継続を妨げるのでしょう。三日坊主から考えると「物事の始め方」が大きく関わっているようです。では継続のために「始め方」をどう気をつければよいでしょう。それは「優しいものから少しずつ始める」ことです。

 

 

挫折しやすい「ランニング」で考えてみましょう。三日坊主にならずランニングを継続するコツは「5分のランニングから始める」ことです。むしろウェアに着替えて外に出るだけでも良いです。まずは、そのくらい簡単なことを1ヶ月続けます。はじめは物足りないと感じるかもしれません。しかしプロ選手でない限り、多くの人は一日の余力の中でランニングを行います。はじめからギリギリまで体力を使いランニングすると、他にやるべきことがある時に、ランニングにかける体力と時間が確保できず後回しになります。さらに「辛い」という印象だけが残り、最終的にはやめることになるのです。こうして三日坊主が完成します。

物事を始める時は、余力を残す程度からスタートすることが大事なのです。

 

 

勉強も同じです。最初は簡単に理解できる優しい内容から始めて、継続することが大切です。スムーズに理解できる内容であれば勉強時間は短くなり負担も減ります。難しい教材をいきなり使うと思考力と時間を無駄に費やし、結局理解できず、やめてしまいます。しかも最後はできない気持ちで終わるので、苦手意識をもつ可能性が高いです。そうなると以降、再開が困難になります。

こうした状況に陥らないためにも、初学者や苦手意識のある人が使う理解型参考書は「基礎内容のみ扱い、優しく説明している参考書」でなければならないのです。

 

 

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