【原稿公開】第4章(4)「問題中心型参考書」は使い方とタイミングに要注意




 

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冒頭では教材を四種類に分類し、分類できないものに関しては、使わない方がよいとまで述べました。ただし例外があります。分類しにくい教材の中に「問題中心型参考書」が存在します。これは、使い方に注意さえすれば、非常に効果的な教材となりうるのです。

 

 

まず参考書の特徴についてお話します。理解型参考書のように学校で学ぶ内容をわかりやすい解説でまとめてくれています。その点は変わりません。理解型参考書ではより分かりやすくするために、ちょっとした具体例を提示することが多いです。例えば図や表などがそれに当たります(図や表が多すぎると文章による説明が少なくなるので理解型参考書としては適さないことは前述した通りです)。この具体例に「問題」を利用しているのが、「問題中心型参考書」です。実際に問題を見ることで、これから学ぶ内容が問題の中で、どのように使われているのか確認しながら理解することができます。すなわち、問題を解くために必要な知識を優先的に知ることができるので、問題を解くことを目的とした学習者には、理想的な教材と言えます。

 

 

代表的な教材は

・物理のエッセンス
・定期テスト対策 数学の点数が面白いほどとれる本
・大学入試 世界一わかりやすい 英文法・語法の特別講座
・出口のシステム現代文

などが挙げられます。

理解型参考書の中にも、章末に「試しに解く」ための問題が用意されている教材はあります。しかしこれは「問題中心型参考書」には入りません。なぜならその問題はあくまで理解の確認用であり、内容の解説において必ず必要とされているわけではないからです。問題がなくても参考書として成り立つ場合は、「理解型参考書」であり、問題がなければ成り立たない参考書は「問題中心型参考書」に分類することができます。

 

 

次に使い方についてお話します。「問題中心型参考書」のような、「問題を解く」目的に沿った学びができる教材は一見、効率のよい学習につながると思われ、多くの人が初めから使用する傾向にあります。しかし、まだ理解の浅い段階で、このタイプの教材を使用するのはやめた方がよいでしょう。

 

理由は主に3つあります。

まず知識の漏れが生じやすくなります。最初から「問題中心型参考書」で学ぶと、いきなり問題学習のように部分的に切り取った内容を個々に学ぶことになるので、複数の木を見ることで森全体を見ようとする学習になります。従ってどうしても見ることのできない領域、即ち知識の漏れが生じやすくなります。

また「問題中心型参考書」は具体例として提示された問題を解くのに必要な知識を学ぶので、問題ごとに学ぶ知識が互いに独立する可能性が高くなります。そうなると個々の知識が繋がりを失い、全体としての理解が浅くなってしまいます。

さらに問題はどうしてもスペースをとってしまうので理解するための解説は理解型参考書に比べると少なくなります。となると、まだ理解不十分の段階で使用するのは不適切であることがわかります。

 

 

以上から、学習の初期段階(理解が最も重要な段階)には適さない教材と言えます(もちろん例外の教材もあります。物理のエッセンスは例外の一つです)。

ただし、理解型参考書で学んだ後であれば非常に効果的に使うことができます。

「理解型参考書→問題中心型参考書」の順に使用することで、知識の漏れを防ぐことができます。初めに理解型参考書で全体の内容を学び、それから問題中心型参考書で問題を通して部分的な知識を勉強するので「森を見てから木を見る」学習になるからです。

さらに問題中心型参考書は理解学習から問題学習へスムーズに移行する橋渡しになります。理解型参考書を使用しているときは問題のことを考えず、とにかく概念を理解する学習に徹します。それを終えた直後から問題学習を行うと一気に学習スタイルが変わるので、躓く可能性があります。この移行をスムーズにしてくれる教材が「問題中心型参考書」です。この教材は理解学習と問題学習の両方の要素を兼ね備えているので、理解型参考書で理解した内容を「問題を解く」という視点からさらに理解を深め、本格的な問題学習の準備を行うことができます。もちろん問題パターン数は少ないので、問題学習としては不十分ですが、その前段階としては最適な教材です。

 

 

また本質的に理解する「理解型参考書」と、問題を通して学ぶ「問題中心型参考書」は一つの内容を互いに異なるアプローチで学ぶことができるので、これらを併用するのも効果的な使用方法です。「問題中心型参考書」は特徴を把握し、使い方、使うタイミングさえ間違えなければ強力な助っ人になる部類の教材です。

上手に利用しましょう。

 

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