【原稿公開】第6章(コラム)暗記方法はカラオケから学べ




 

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整理型参考書の使い方の一つに「暗記資料の作成」が出てきたため、今回のコラムで暗記方法について触れておきます。暗記は「新曲を知ってからカラオケで歌えるようになるまでの過程」を考えると理解しやすいので、そこから見ていきましょう。

 

 

まず新曲はどこで知りますか。新しい曲なのでいろんな所で流れていますよね。コンビニやテレビ、ラジオ、アプリ、飲食店、ゲームセンター・・・などで聴くことが多いでしょう。何度も耳にし、繰り返し同じ曲を聴くことになるのでサビや曲の一部が自然と頭に残ります。そして無意識に口ずさむようになります。

 

 

 

ある日、友達とカラオケに行くことになりました。試しに覚えたての新曲を歌ってみたくなり意気揚々と歌い始めます。でもボロボロ。まだ知らない歌詞もあるし、頭に残っていたサビすら音程がとれません。歌えると思っていた曲が歌えず、ちょっと恥ずかしい思いをします。でも頭に自然と残っていた曲を元に歌ったため、新しい発見が多くあります。ズレた音程や初めて知る歌詞、一部間違えて覚えていた所も正しく知ることができました。

 

 

カラオケから帰宅後、インターネットで検索したり、実際に音源を聴いたりして正しい歌詞と音程を確認します。これまで曖昧に覚えていた曲に少しずつ修正と新しい情報が加わります。カラオケで歌うまでは一度も積極的に覚えようとしませんでしたが、ここにきて初めて意識的に覚えようとします。

 

 

修正後、再度カラオケに行くことになりました。今度は大丈夫と前回失敗した曲を歌ってみます。すると歌詞を見ながらではありますが全て歌えました。次は歌詞を見ずに歌えるようになりたいので、再度修正し、覚え直します。このサイクルを3~4回続けると完全に曲が頭に定着しカラオケでは十八番の曲になります。

 

 

いかがでしょう。もちろん、この流れ通りになるとは限りませんが、イメージはできますね。この流れに暗記を当てはめると、効果的な暗記方法になるのです。

まずいろんな場所で同じ曲を繰り返し聞くことで頭に自然と曲の一部が残る段階。これが暗記に最も大切な過程です。言い換えると「意識して暗記せず繰り返すうちに自然と頭に残る」段階です。はじめは完璧にすべてを暗記するのではなく内容の一部を頭に残すことで記憶のひっかかりを作ります。人は何もないところから暗記しようとしても、なかなか頭に定着しません。しかし既に頭の中にひっかかりとなる記憶や情報があれば、それを幹にして新しい情報を関連付け、幹から枝を伸ばすように覚えていくことができます。この方法を使うと労力をかけず暗記が可能となります。

最初のひっかかりである幹をどう作るかですが、幹は土にしっかり根を生やし太く、少々のことがあっても倒れないものがよいです。となると幹を作るために無理やり覚えても意味ないですよね。無理やり覚えた記憶はすぐに忘れてしまいます。何があっても忘れない記憶とは自然に定着した記憶です。新曲は何度も耳にすることでサビや一部特徴ある歌詞、音が頭に残りました。だからこそ幹にできたのです。暗記も同じで暗記内容を理解した上で、次は覚えようとせず何度も見返す、繰り返す作業をいれましょう。ここで無理に覚えようとしてはいけません。とにかく繰り返します。すると特徴的な部分が自然と頭に残ります。その自然と頭に定着した内容こそ簡単には倒れない幹となり得るのです。

(なお、繰り返す作業をどこでも短時間で実行可能なものにするために、暗記内容をシンプルにまとめた暗記資料が必要になります(後述))

 

 

次にカラオケで初めて新曲を歌います。しかし上手に歌えません。帰宅後何が間違っていたか、実際の曲を調べて覚えようとします。そして間違えていた歌詞、音程の修正とまだ覚えていない歌詞、音程を頭に加えます。つまり自然と頭に残った情報を正しい情報と照らし合わせ見つけた違いを修正し、追加情報を加える、幹から枝を伸ばすステップです。この修正と追加は比較的楽に行うことができます。既に頭にある情報(幹)を修正、拡張することで暗記の負担を減らすだけでなく、実践(エピソード)を通して見つけた違いは五感でも捉えることができるので記憶に残りやすいからです。よく「五感を使って暗記しろ」と暗記本に書いてありますよね。その五感を自然と使って覚えることになるのです。

では勉強における暗記を見てみましょう。自然と頭に残った記憶の幹を手掛かりに問題を解いたり、何も見ず自分で書き出してみます。しかし当然うまくいきません。まだ記憶が曖昧で部分的だからです。落ち込むことではありません。むしろ前に進むチャンスです。すぐに調べて自分の頭にある情報を修正し、幹から新しい記憶の枝を伸ばしていきましょう。このサイクルを繰り返し最後にはすべて頭に定着させることができます。

 

 

 

ちょうど人から質問された後も同様の流れになります。人から分からない問題を質問されると、曖昧な知識を振り絞って答えようとします。しかし解答が不十分で相手は納得しません。まずいと思い調べてみると、自分が曖昧に覚えていた内容が少し異なる、または足りないことに気付きます。そして自分の頭にあった内容を修正し新しい情報も加え友達に教えます。すると友達も納得してくれると同時に、自分の頭にもしっかり知識として定着するのです。

いかがでしょう。まとめると以下のようになります。

 

①暗記内容を理解し、暗記資料を作る

②無理して覚えようとせず、何度も繰り返すことで内容の一部が自然と頭に残るようにする

③頭に自然と残った内容(幹)を頼りに実際に問題を解いたり、書き出したりしてみる

④そこで思い出せなかったり、間違えたりしたらすぐに修正し幹から枝を伸ばしていく。

この段階で初めて意識して覚えようとする、

⑤②~④を繰り返すことで最終的に全ての内容を頭に定着させる

 

上手に幹や枝のひっかかりを利用し労力を最小限にすれば、誰でも苦なく暗記が可能になるのです。

 

 

暗記資料の作り方

暗記の幹を作る段階は暗記学習の中でも最も気をつけて勉強しなければなりません。なぜなら、この段階は以降、暗記学習を継続できるかどうかに大きく関わっているからです。第3章でお話したように物事を始める時は優しく簡単なものから少しずつ始めなければ、すぐに躓き継続が困難になってしまいます。

暗記学習は継続が重要です。1日、2日で培った暗記は短期記憶であり、すぐに忘れてしまうのはご存知かと思います。すぐに忘れない長期記憶として頭に定着させるためには、暗記学習を継続する必要があります。となると、暗記学習のファーストステップである暗記資料を用いた記憶の幹作りは継続のためにより慎重にならなければなりません。「覚えようとせず、忘れてもいいからとにかく繰り返す作業」も最初のステップをできる限り負担の少ないものにするための工夫です。最初から完璧に覚えよう意気込んで暗記してもほとんどが失敗に終わります。天才でない限り一回や二回で完璧に覚えるのは不可能です。そして嫌になりやめてしまうパターンは暗記学習の始め方の悪い例です。だから忘れてもいい。むしろ覚えようとせず、自然に頭に残ったらラッキーというくらいの気持ちで始めます。そうすれば、繰り返しと継続が可能となり一気に暗記学習が進みます。

また暗記資料の作り方にも工夫が必要です。実は勉強の始め方だけでなく、勉強道具にも継続を妨げる要因が二つあります。距離的ストレスと時間的ストレスです。距離的ストレスは勉強にとりかかるまでの距離です。時間的ストレスは暗記学習を1サイクル行う時間です。この二つのストレスが大きい場合、継続が困難になります。

 

 

例えばトレーニングジムについて考えてみましょう。片道20分かかる綺麗で人気なジムに通うことを決心したとします。いよいよトレーニング初日を迎えました。ジムへ行く準備をして家を出発し電車でジムに向かいます。ジムにつくまで、既に30分以上経過しています。さらにそこからロッカーに荷物を置いて、着替えて靴を履いて・・・とトレーニングにとりかかるまで家を出てから約45分かかっています。やっとトレーニングを始めますが、せっかく30分以上かけて来たのだから頑張ろうと意気込み1時間以上滞在します。いろんな道具を使って追い込み、ヘトヘトになります。終わると汗を流すのにシャワーを浴び、また30分以上かけて帰ります。家での準備からジムでトレーニングをし、帰宅するまでおそらく2時間~3時間はたっています。家に着き一息ついて考えます。「明日もやるのか。腰が重い・・・。」

 

 

最初の1~2回はなんとか続けることができるかもしれません。しかし3回目から確実に億劫になります。三日坊主の完成です。なぜ面倒になってしまうのでしょうか。それは行くと決めたジムは距離的ストレスと時間的ストレスが大きいものだったからです。まず、トレーニングに取り掛かるまで30分以上もかかると、少しでもやる気が出なければ、行くのが面倒になります。さらにトレーニングを1時間以上やると思うと、なおさら行く気になりません。大きな距離的ストレスと時間的ストレスは、このように実行する意思を妨げてしまうのです。ではどうしたらよいでしょうか。ジムまでの距離を短くし、一回のトレーニング時間を短くしたらよいのです。少し汚くても家から一番近いジムを契約し、荷物も最小限にします。ジムについたらロッカールームにも行かず、すぐにトレーニングフロアに行き、準備運動をして始めるのが理想です。そして一回のトレー二ングを15分に設定します。15分以上できると思ってもやめてすぐに帰ります。そうすれば家を出て帰ってくるまで1時間もかからないでしょうし、疲れも残りません。こうして「明日も行こうかな」という気持ちになります。時間的ストレスと距離的ストレスを最小限にした結果、継続が可能となったのです。

 

 

暗記も同じことが言えます。例えば暗記しなければならない参考書があるとします。学校に持っていくのは大変なので、家の机に置いてあります。となると勉強しようにも、まず机に座らなければなりません。この時点ですでに距離的ストレスがかかっています。さらに暗記内容が多ければ、1サイクル行うのに15分くらい必要になります。そこで時間的ストレスがかかります。この二つのストレスが暗記学習の継続を妨げてしまう可能性があるのです。

そこで暗記資料の出番です。暗記資料は「A4用紙1枚に、5分で終わらせる内容をまとめたもの」にします。理由は先ほどの二つのストレスを最小限にするためです。まずA4用紙にすることでポケットに入れることができます。ジムの話でもあったように、とりかかるまでの距離を最小限にすることが大切です。暗記資料を常にポケットに入れておけば、いつでもどこでも暗記学習ができます。これで距離的ストレスは最小限になります。次に暗記内容5分で終わらせるような内容に区切ります。1回1時間以上ジムでトレーニングするから続きません。しかし1回15分だけの筋トレなら続きます。暗記も同じで1回の勉強に30分も1時間もかけていたら続きません。1回5分程度で終わらせれば、時間的ストレスを最小限にし、繰り返すことができます。

 

 

「A4用紙1枚に5分に終わらせる内容をシンプルにまとめた暗記資料」を作成し利用することで二つのストレスを最小限にし、継続的な暗記学習が可能となります。参考書や問題集と同じで、暗記学習でも適した勉強道具を用意することが大事なのです。

 

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