【原稿公開】第7章(コラム):勉強方法に対する二つの誤解




 

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本書では「参考書、問題集の選び方」を紹介してきました。ただ、この本を手に取っていただいた方には、おそらくもう一つの課題があるかと思われます。それは「勉強方法がわからない」という課題です。なぜなら、勉強方法と教材はセットで考えることが多いからです。例えば、数学の勉強のやり方を知りたい人は、往々にして「どの教材をどのように使うかを知りたい」と言い換えることもできます。となると、おそらく教材の選び方を紹介している本書と共に、勉強方法の本も探したり調べたりしているのではないでしょうか。ただ、なかなか自分の勉強方法が見つからない、自分に合う勉強方法がわからないのが現状かと思います。なので、本コラムでは、これだけ勉強方法の情報が溢れている現代で、なぜ自分に合う勉強方法が見つからないのかについてお話します。

原因は勉強方法に対し一般的に二つの誤解があるからです。

 

一つ目は「勉強方法は裏技」という誤解です。

 

 

皆さんは勉強方法に対しどんなイメージを持っていますか。世の中勉強方法を紹介した本がたくさんあります。「偏差値30から1年で合格する東大受験」や「1週間で50点UPする勉強方法」といったタイトルを一度は見たことがあるでしょう。このような本やサイトが世に蔓延っているため、勉強方法と聞くと「楽して力をつけることができる」「できるだけ労力をかけず結果をだせる」裏技のようなものをイメージされやすいかと思います。

しかし、これらはテクニックであり、勉強方法とは少し異なります。勉強方法は裏技ではありません。努力を前提とした方法が勉強方法です。

例えば、サッカーのリフティングを考えてみましょう。ストリートサッカーのようにカッコよくリフティングできるようになりたくて、インターネットで調べたとします。すると、かっこいいリフティングの方法を説明した本や動画がたくさん出てきます。そこで早速、紹介されたやり方を真似してみますが全くカッコよくできません。なぜでしょう。

 

日本フリースタイルフットボール連盟より引用

 

これは必然の結果です。なぜなら真上に連続して蹴り上げるなど基本的なボールの蹴り方がまだできていない段階で、いきなりカッコいいテクニックを習得しようとしているからです。

ボールをただ真上に蹴るにも、大切な方法があります。足にどうボールをあてるか、どの程度高く蹴り上げれば次につながるか、高く上がりすぎたボールへの対応など。基本的な方法を知った上でさらに練習しなければなりません。努力が必要になります。そしてある程度ボールを蹴れるにようになって、ようやくカッコいいリフティングのテクニックを習得する段階へ進めます。驚くべきことに、この時点であればテクニックは短時間で習得できます。それはテクニックを習得する際に基本の蹴り方を応用できるからです。

一般的に基本を応用し拡張することで、新しいテクニックや技術を習得することができます。そのためにも努力を前提としたスタンダードな方法を身に着けておく必要があるのです。いきなりテクニックに走ると中途半端になり途中から実力が伸びなくなります。こうなると後戻りはなかなかできません。

勉強においても同じことが言えます。一週間で何点もあげるテクニックや、東京大学に合格するためのテクニックにいきなり手を染めず、まずは勉強に共通する基本的なやり方を身に着けましょう。そしてそこには必ず努力が伴います。「勉強方法は努力を前提としたやり方である」ことを必ず頭に入れておいてください。

 

 

もう一つは「自分に100%当てはまる勉強方法がどこかに存在する」という誤解です。

今の時代、勉強方法の本がたくさん出版されています。インターネットで「勉強方法」と検索すると関連記事や動画がすぐに出てきます。さて勉強方法の資料がこれほど充実しているにも関わらず、「勉強のやり方が分からない」「勉強方法さえ分かれば成績あがるのに」といった声をよく聞きます。なぜでしょうか。それは「100%自分に合う勉強方法がどこかに必ず紹介されている」と思い込んでいるからです。

ここに明らかな誤解があります。実際は「100%自分に合う勉強方法を紹介した本やサイトはこの世に存在せず、勉強方法は自分に合うように改良し育てていくもの」なのです。

 

 

例えば、暗記方法一つとっても「睡眠学習を利用した暗記方法」、「書かずに覚える暗記方法」などたくさんのやり方が紹介されています。でも残念ながら、どれも皆さんに100%合う方法ではありません。理由は簡単です。紹介されている方法はすべて、紹介元である著者の成功と失敗に基づく方法論だからです。

前の章で、方法は自らの足で経験した成功と失敗から生まれるとお伝えしました。従って本や動画で紹介されている方法も、紹介した人が努力し成功と失敗を経て改良を繰り返した結果、生まれたものです。世に出ている方法は完全にオリジナルであり、紹介した人にとって100%合うやり方であっても、皆さんにとって100%合う方法ではないのです。ですが、多くの人は本や動画にある方法を真似て少しでも合わないと感じたらすぐに諦めます。そして、100%自分に合う方法を求め、また探し始めるのです。こうして出口のない無限ループに入り込んでしまいます。その悪循環から抜け出すためには、自分にいきなり100%合う勉強方法は存在しないという意識を持つことが大切です。紹介された方法を真似するのは全く問題ありません。しかし実際に真似してみると必ず違和感を感じたり、自分に合わない部分が出てきます。

ここで諦めて、他の方法を探し始めることが悪循環への入り口なのです。もちろん全く合っていないのなら、他の方法を探すのも一つの手です。しかし、部分的に合わないと感じる場合は試行錯誤し、自分に合うようにその方法を育てていく必要があります。試しては改良し、少しずつ勉強方法を変化させ続けることで、初めて自分に100%合うオリジナルの方法を作り上げることができるのです。この育てる過程を飛ばしては、いつまでたっても自分の方法を見つけることはできません。さらに一度育て上げ確立した方法でも時間がたつとまた合わなくなるタイミングがやってきます。学年が上がるにつれ、勉強量、スピード、目標も変わるので、これまで使っていた勉強方法が通用しなくなるのは当然です。そんな時こそ、勉強方法を改良し進化させるチャンスです。「勉強方法は育てていくもの」。こちらも必ず頭に入れておいてください。

 

 

以上が、いつまでたっても自分に合う勉強方法が見つからない理由です。そしてこれは、本書も含めたハウツー本に共通した誤解とも言えます。

本書で紹介した方法も100%あなたに合う方法ではないかもしれません。ただ、これはある意味、粘土の型のようなもので、この型を手に入れた後はこねてこねて、自分に合う形に変えていかなければなりません。その作業が本書をもとに本屋で教材を選び、購入し、使ってみるという実践です。これからはとにかく実践あるのみです。実践を通して、少しずつ自分に合う形に変化させていきましょう。そうすれば、あなただけの最強の選び方が完成します。

さぁ、準備は整いました。今すぐ本書をもって本屋に向かい、自分だけの方法を確立しましょう。

 

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