【原稿公開】おわりに:「ひとりの生徒」と「三つの伝えたいこと」




 

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ここまで読んで頂き、ありがとうございました。本書が少しでも皆さんにお役に立てれば幸いです。最後に、「ひとりの生徒」について話をさせてください。

約10年前のことです。私が教えていた生徒に医学部志望の学生がいました。彼は毎日とても努力しており、こちらからも何も言うことがないほど、自発的に勉強していました。学校の定期テストでは常に上位層に入り、模擬試験でも結果を出していました。しかし、一つだけ問題がありました。彼の通う学校は一般的にいわれる医学部受験に対応した学校ではなかったのです。学校が悪いというわけではありません。ただ、彼が使用していた学校指定の教材は、医学部受験を考えると、レベルも量も明らかに足りなかったのです。また学年が上がるにつれ、躓くことも多くなり、学校の授業や教材だけでは限界を感じていました。

そこで、私は市販の教材を複数紹介し、これらを使って勉強するようアドバイスしました。すると躓きも克服でき、成績もより一層あがったのです。これには生徒と共に喜び、この子なら夢を叶えることができると確信していました。

順風満帆と思っていたのですが、ある日、学校から帰宅した彼は珍しく落ち込んでいました。話を聞いてみると「学校の先生に怒られた。周りからも変な目で見られて。すごくつらい」と言うのです。どうやら、学校にはもう一つ問題があったようです。担任の先生が市販教材の使用を良く思っていなかったのです。彼は、授業中に分かりにくい箇所があったため、市販の教材を調べていたところを怒られ、さらには、「私の授業さえ聞いておけば問題ないんだ」とまで言われたのです。

 

これには、さすがに私も頭にきました。

 

また、このクラスの生徒は、担任の先生から常日頃、上記のように言われていたため、学校以外の教材は良くないという先入観をもっていました。従って、学校の授業や教材関係なく、自分に合う勉強道具を使い、高い目標を目指して毎日努力していた私の生徒に白い目を向けていたわけです。それからというもの、先生から些細なことで常に怒られ、彼は精神的にも追い詰められていきました。しまいには、「学校を辞めなよ」と私が言わざるを得ないほど憔悴しきっていました。それでも彼は努力を続け、某大学の看護学科に合格しました。

医学部には届かなかったものの、全力を出し切り結果を出したため本人は納得していましたが、私はこれで終わらせたくはありませんでした。

あそこでなぜ怒られなければならなかったのでしょう。

なぜ白い目で見られなければならなかったのでしょう。

なぜ学校を辞めたいと思うまで追い込まれなければならなかったのでしょう。

しかも、勉強を全くしていない学生ではなく、誰よりも努力し夢に向かっている可能性に満ち溢れた若者が、このような辛い状況に陥っているのです。

実は私も似たような経験をしたことがあります。学校の授業が分かりにくく、スピードも遅いため、危機感を感じ独学に切り替えた頃のことです。数学の授業中に、あいた時間で他の教材を使い勉強したところ(あくまで数学の勉強です)、急に先生が大声で私の名前を呼び、その場で立たせ、教室の外に出るよう命令されたのです。私は何が悪いのか理解できず、外に出ました。それから、しばらくは保健室で勉強しながら、教室を行ったり来たりしていました。保健室の方が静かに勉強できるからです。

私は医学部にいくと決めてから大学合格のための勉強を最優先に考え努力していました。なので、私にとっては授業中ですら、あいた時間がもったいなかったのです。その時間を自分の勉強に使って何が悪いのでしょう。全く理解できませんでした。

「全ての生徒が学校以外の教材を使うべき」と言っているのではありません。個々人のやり方があるので、自分に合うやり方で勉強したらよいのです。それが学校の授業や教材を使うことであれば、全く問題ありません。

問題は自分の現状を打開しようと自発的に動き、市販の教材を使って努力していた人の学習を妨げることです。本来勉強は誰のものでしょう。先生のものでしょうか。親のものでしょうか。どれも違います。学習者本人のものです。学習者の勉強をなぜ学習者が好きなようにマネジメントしたらいけないのでしょうか。

世の変化が激しく、教育の重要性が増している現代でさえ、まだ同様のことが全国で起こっています。あってはならないことです。こうした状況に学習者目線で一石投じたいと強く思い本書を作成しました。

 

私が本書を通して伝えたいことは主に三つあります。

一つ目は「人生をも左右する素晴らしい教材に早く出会ってほしい」ということです。世の中には様々な教材があり、その中には自分の人生を大きく変える大事な一冊が必ず存在します。その本に早い時期に出会うことができれば、それだけ自分の人生の可能性を広げることが可能となります。だからこそ、大切な出会いに本書が少しでもお役に立てればと思い執筆しました。

二つ目は、「勉強に躓き、途方に暮れている人でも、挽回する可能性は十分残っている」ということです。学校の授業が分からず、塾や家庭教師を利用する人は多いです。しかし、塾や家庭教師に頼ってもまだ、うまくいかない人がいます。その人たちはもう為す術がないのでしょうか。そんなことありません。学校、塾、家庭教師がなくても勉強できる手段はたくさんあります。その一つが市販の参考書や問題集という大切なパートナーと共に歩む方法です。

学校や塾、家庭教師でうまくいく人はそれでよいのです。自分に合う教育機関を捨ててまで、市販の教材を使用する必要はありません。でもそうした教育機関がどれも合わない人は少なからず存在します。そのような人に本書を通して「大丈夫だよ」と強く伝えたいのです。

三つ目は「全ての人に勉強を自分でコントロールしてほしい」ということです。勉強は紛れもなく自分のものです。勉強は学習者が中心であり、他はどこまでいってもサポートにすぎません。しかし冒頭でお話したように、学習者が中心でないと思わせるような出来事が全国で起こっており、辛い思いをしている人もたくさんいます。そのような人たちが参考書、問題集という最高のパートナーに早く出会い、自分中心の勉強を取り戻してほしいという強い思いがあります。

 

本書を書き上げた時、これで勉強に困っている人の役に立てると確信したと同時に、本書があれば、私の生徒もあれだけ辛い思いをせず、自信もって勉強を続けることができたのにと悔やみもしました。10年前の出来事ですが、それだけ私の中では彼との時間が大きく影響しています。この本は彼がいたからこそ生まれたと言ってもいいのかもしれません。

全国には彼のように勉強を頑張っているのに、辛い思いをしている人がたくさんいます。そのような人たちに今度こそ本書を通して力になれたらと強く願っています。また、私は普段「ペンペン先生」としてインスタグラム上で、勉強方法を紹介したり、悩んでいる人の相談に乗るなどの活動をしています。他にも「勉強方法辞典」というサイトを運営し、勉強に役立つ情報を発信しています。これらのサービスも全ては「勉強を頑張っている人」を心から応援したいという気持ちから始めて、今も続けています。

目標に向かって努力している姿は美しいです。そんな人たちが安心して自信もって走り続けることが日本の明るい未来にもつながると信じています。

最後に本書とペンペン先生、勉強方法辞典が皆さんのパートナーに選ばれ、夢に向かって一緒に走ることができればこれ以上の喜びはありません。いつも応援しています。ありがとうございました。

 

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